ブルーダイヤを探せ  第3話

前号までのあらすじ

 ロシアの没落貴族の末裔マリアに乞われ、一族の隠された宝を探すことになったやみのすけ。宝は町のはずれの岬のどこかに眠っているという。ヒントは宝のありかを記した絵。絵はこんなふうだ。海に突き出た岬の真中にギリシャ彫刻みたいな女神像があって、そのまわりを12の敷石が時計のように囲ってる。太陽はちょうど3時の位置にあり、敷石に影を落としている。そして祖父は、「太陽に注意せよ」という遺言を残していた。
 そしていよいよ宝探しの日がやってきた……。

 その日、岬はぴゅーぴゅーと風が吹いていました。
 岬の突端には女神像。その周りを12の敷石が囲っています。
 「ホント、絵とおんなじね」
 「みつかるかしら」
 と心配そうな顔をするマリアさん。
 「もしこれで出てこなかったら、もう私たちは終わりだわ。ブルドーザーを借りてくるお金だけで、もう家中の現金もなくなっちゃったし……」
 「やみのすけ〜、マジ、大丈夫?」
 やみのすけったら何もいわない。本当に平気かしら?とそのとき、
 「やいやい、やみのすけ、こんなブルドーザーなんか用意しちゃてどういうつもりだ」
 といつものダミ声が。
 「い、犬山警部じゃないですか。警部こそこんなとこで何してるんですか?」
 「噂はきいたぞ、やみのすけ。なんでも宝探しにつきあってるらしいな。この辺を勝手に掘り起こそうって話らしいが、許可はとったのか」
 「許可?そんなもんいるんですか?」
 「当たり前だ。えっと……道路交通法違反じゃなくて器物破損じゃなくて、ええい、何でもいいからついに逮捕だ、やみのすけ!!ガハハハハ」
 「なんてやつだ犬山警部!やみのすけは、かわいそうなマリアさんたち一家を救うためにやってあげてるのよ、邪魔しないでよ」
 「ともかく、許可もなくこんなところを掘り起こそうなんて逮捕だ逮捕!やみのすけもむかねこも、そのロシア貴族の末裔だか何だかもみーんな逮捕だ。ガハハハハ。そうだ、やみのすけ。10分間だけ猶予を与えてやろう。あと10分以内に宝を見つけ出したら、逮捕はしないでおいてやる、どーだ」。
 えーい、許せん!!思わず飛び掛りそうになったアタイですが。
 「待て、むかねこ。10分もあれば十分さ、さあ、やってみよう」
 そう言ってやみのすけは、もう一度絵を見据えました。
 「太陽の位置に注意せよか……ここを掘って」
そう言ってやみのすけは、敷石のひとつを指差しました。ブオオオオオオーンと音を立てるブルドーザー。敷石がはがされ、土が掘り起こされていく……とそのとき、何か青いものがキラリ…

 「あ、あったぁ!!ダイヤだ!!!」
 掘り起こした穴から出てきたのは、巨大なブルーダイヤの塊と金の延べ棒が数本
 「た、宝が出てきた…」
 唖然として立ちすくむ私たち。マリアさんはその場にへなへなと倒れこみました。
 驚く私たちを尻目にやみのすけは涼しい顔。
 「だろ、大丈夫だって言ったろ。犬山警部、10分以内で終わったよ、文句ないね」
 「す、すごい、やみのすけ、な、なんでわかったの?……」
 「カンタンさ」
 そういってやみのすけは、説明に取り掛かりました。謎解きは次回に続きます。