ブルーダイヤを探せ  第4話

前号までのあらすじ

 ロシアの没落貴族の末裔マリアに乞われ、一族の隠された宝を探すことになったやみのすけ。宝は街のはずれの岬に埋められているという。ヒントはマリアの祖父が描いたという一枚の絵。宝のありかを示している。絵はこんなふうだ。海に突き出た岬の真ん中にギリシャ彫刻のような女神像があり、その周りを12の敷石が時計のように囲っている。祖父の遺言は、「太陽に注意せよ」。太陽は3時の位置にあり、敷石に影を落としていた。そしていよいよ宝探しの日。やみのすけは、9時の位置の敷石を指差し、ここを掘り返してという。ブルドーザーが音をたてて土を掘り返していく…
 …やがて青く光る宝がそこに現れた!

 「ひえ〜、マジで出てきたよ、宝が!!」
 アタイたちは驚いてその場に思わず腰を抜かしちゃいました。出てきたのはブルーダイヤの山。太陽に反射してキラキラ光っています。
 「こんなもん見たのはじめて。なんてキレイなんだろう……」
 犬山警部も唖然として見ている。
 「な。なんでわかったの?」
 「絵だよ。“太陽に注意せよ”っていうんだろ」
 「太陽は3時の位置にあるよ。でもアンタが掘ったのは9時のところだよ、ぜんぜんちがうじゃん」
 「ここを見ろよ(そう言ってやみのすけは絵の隅っこを指差した)。サインだ。ここに“Я”ってサインがあるだろ。アルファベットのRを反対にしたロシア文字だ。じいちゃんの名前は“りんたろう”。イニシャルはR。じいちゃんの描いたというほかの絵もみせてもらったけど、サインはいつもR。Яのサインはこれ一枚だけ。ところでЯは、ロシア文字だけど、もうひとつ考えられる意味がある。Rを反対にすると、つまりRを鏡に映すと「Я」になる。つまりこの絵は、鏡に映した絵になっているんじゃないかってこと。サインのЯは、この絵が鏡像であることのヒントになっているんじゃないかということだ。鏡に映せばすべては反対になる。太陽の3時の位置は9時の位置だ。それで9時の位置を掘ってみたんだ」
 「す、すごい!!!」
 「ありがとうございます!!」
 マリアさんは目に涙を浮かべて喜んでいる。
 「これで借金も払えるし、家を売らなくてもすむわ」
 「良かったね、マリアさん」
 犬山警部が苦虫つぶしたような顔でこっちを見てる。
 「約束どおり5分で終わらせましたよ、文句ないでしょ」
 「うるさい!!!いいから元通りにせい!!!」
 とそんなわけで一件落着。やみのすけったら、スゴ〜イ!!