前号までのあらすじ
モデル志望のキレイな女性・綾香が事務所にやってきた。「スミマセン、100万円貸してください」だって。サラ金と間違えてるらしいワ。「100万円ないと私たちみんな死んじゃうの!!」と泣き出す始末。わけを聞くと……
幽霊が出ることで有名な島、ゴク・モン島。そこに旅行に行った綾香たちは、入ってはいけないといわれる小屋にオモシロ半分で入ってしまう。そこでなんと、幽霊を目撃!
一目散にペンションに帰るのだけど……。
「その夜のことなんです」
綾香さんは、ゴクリとツバを飲み、世にも恐ろしい話をし出しました。
「私たちはペンションに帰りました。やがて食事の時間になりました。料理は本格派のフランス料理だったんだけど、みんなシーンとしちゃって、ナイフとかフォークの音がカチャカチャいうだけで、すごく気が重かった。そうこうするうちに外は雨が降ってきて、雷までなるじゃないですか。そしたらね……」
綾香さんは、一瞬、恐怖に顔を引きつらせて、
「ハッハッハッハックション」
「だ、大丈夫」
「スミマセン、私、花粉症なの。いったんクシャミが出だすと止まんないんですぅ。ちょっとスミマセン、薬」
そう言って、花粉症用の点鼻薬(鼻から吸い込む薬)を鼻の穴に持っていってスースー吸い込んでる。ハッキリ言って美人も台無しですワ。
「綾香さん、落ち着いて」とやみのすけ。
「そしたら、そしたらね、最後のコーヒーが出てきたくらいの時、いきなり友だちのランコがケタケタ笑い出したんです。いえランコだけじゃない、樹里ちゃんもアイミちゃんも加奈子ちゃんもみんなケタケタ笑い出して、ランコなんか、“見て見て!あそこに人がいる、誰かしら”なんていいだす始末。そうこうするうちに樹里ちゃんが倒れたんです!
「ひょっとして…」
アタシは息を呑みました。
「それってタタリ」
「タタリじゃなかったらなんなのでしょう」
「でもさ、綾香さんは大丈夫だったんでしょ、なんでアナタだけたたられなかったワケ?」
「さあ、それがよくわかんないですぅ」
「ま、いいや。それで?」
ビックリしてたらペンションのオジサンが来て。その頃には本当にみんなおかしくなっててペンションのオジサンもビックリ。すぐに隣の人を呼びにやったんです。で、やってきたのがなんと!
「なんと?」
「昼間、“あの小屋に行ってはいけないよ”と忠告した白い髭のオジイサンだったんですぅ〜。そしたらね、そのオジイサンが言うの。さてはオマエたち、あの小屋に行ったな。これはタタリじゃ〜」
そういって綾香さんは、ビーっと泣き出したんですわ。
「ウーン……なんだか出来すぎてない?その話。それはともかく、それと100万円とどういう関係があるわけ?」
と眉をひそめるやみのすけ。ホントにそうだワ。
「ではでは、それをこれからお話いたします」
そう言って綾香さんは、眉間に深〜いシワを寄せて話し出した。世にも恐ろしいゴク・モン島のタタリの話を!
覚悟がないコは聞いてはいけないのダ〜。