完全犯罪達成?!おこちゃまはタイヘンなのだ
第1話  やみのすけ運転手になる?!の巻

 それはある暑い日のことでした。私とやみのすけは「花の屋」でアイスコーヒーを飲んでいました。
 「やー、やみちゃん、相変わらずヒマそうだねー」。
 花の屋にたまたま遊びにきていた大野さんがいうの。
 「やー、ヒマじゃないっすよ、大野さん」
 なーんてやみのすけもミエ張っちゃって(ホントはヒマなんだ)。
 「あ、そうだ!やみちゃんなんかいいじゃない」。
 大野さん、何を思い立ったか、隣に座っていた品の良いオジイチャンに声を掛けました。
 「こちら探偵のやみのすけさん。すっごく有能でどんな難事件も解決しちゃうスゴイひとだよ。もちろん運転も上手だし、ちょうどいいじゃない」
 「それはイイです!!!」
 なんだなんだやみのすけヌキでどんどん話が進んでいるけど、一体なんなの?
 するとその品の良いオジイチャンは、嬉しそうにやみのすけに名刺を差し出しました。
 「あ、ドーモドーモ。私、白髭といいます。街のはずれにあるマルバツ商事の若田社長のお屋敷の執事をしております。実は今、社長の1人息子のタケル様の運転手さんを探しているのです」。
 「やー、そう言われましてもね、ボクの本業は探偵ですし〜、イヤですよ〜」
 「それがさ、やみちゃん、実はもっと大変な事情があるんだ。マルバツ商事社長といえば、毎年、長者番付にも出てくるような大金持ちでしょ。なんでも息子を誘拐してやるという脅迫状が届いているんだって。それで運転手やボディーガードを必ずつけているらしいんだけど…」
 「タケル様は小学校3年生でかわいいさかり。けれども少しヤンチャでイタズラが過ぎるものですから、運転手がやめていってしまうのです……やみのすけ様、ずっと運転手をしてくれというわけではありません、次の運転手が決まるまでの間で結構ですから、引き受けていただけないでしょうか」
 「そうは言われてもね〜」
 「いいじゃない、やみのすけさん。毎日ヒマそうにウチにコーヒーのみに来てるだけだし。ちょっとだけだもの、引き受けてあげたら?」
 「なんだよ、ハナちゃんまで、ひどいな〜」
 「お願いします、やみのすけさん」
 「ウーン……しょうがないなあ、もうっ」
 こうして一生懸命頼まれるとイヤとはいえない我らがアニキ・やみのすけ。なんだかよくわかんないうちに、イタズラ少年の臨時運転手を引き受けることに!!!

 そんなこんなで運転手初日。
 「ロールスロイスじゃん、すげえな〜」
 と関心していたのも束の間、坊ちゃんをサマースクールに送りにいこうとしたら……アレ、エンジンがかからない!なんで?
 車を飛び降り、車体を覗くと……あれえ!!ガソリンが漏れているではないか!!
 「ハハハハハハ、引っかかった引っかかった!!」
 高笑いするタケル君。
 「おのれ〜、このガキンチョめ。早速いたずらしおったな!!」
 「だってボク、サマースクール行きたくない。お外で遊んでいたいの」
 「ダメだ!!俺はオマエをサマースクールに連れて行けと、オマエの父ちゃんから仰せつかってるんだ、ひきずってでも連れてくぞ!!」
 「やあだよぉ!!!!」
 そう言って逃げだすタケル君。追っかけまわすやみのすけ。しょっぱなからタイヘンなことになってます……
 とまあ今回はそんなわけで悪ガキの運転手になってしまったやみのすけ。ところが探偵という因果な商売のせいでしょうか。なんと大事件が発生!!タイヘンなことになってしまったのです!
 その後のお話はまた次回。なおこのたびの助手はわたくし、ちびねこなのだ〜!!それでは、はじまりはじまり〜でございますデス。