前号までのあらすじ
どうせヒマだからってことで、臨時で子どもの送り迎えをさせられるハメになったやみのすけ。相手はマルバツ商事の若田社長の1人息子タケル君だ。ところがやみのすけが目を離した隙にタケル君が誘拐され、身代金10億円を海岸の洞窟に置くよう指示する置き手紙が。あくる日タケル君は無事保護されたものの、10億円は消えていた。犯人は誰なのか。やみのすけが悩んでいると、ちゅきが言う。「子どもだってタイヘンなんだよ、やみのちゅけ」。
言われてハッとなるやみのすけ。そうだ、わかったぞ、犯人は……
やみのすけ、一目散に走り出し、タケル君のお屋敷へ。
屋敷に行くと、タケル君とお父さんが出迎えてきました。
「あれ、やみのすけ、どうしたの?」
「どうしたのじゃないだろ、タケル、オマエだな、素直に白状しろ」
「ちょちょっと何だよ、襟首なんかつかんで、乱暴するなよ、やみのすけ」
「犯人はおまえだな、タケル。誘拐事件は自作自演だ。屋敷はいたるところ監視カメラがつけられている、カメラの目をくぐって裏庭に侵入できるのは、タケル、おまえだけだ。俺と鬼ごっこするフリしながら姿をくらまし、カメラの映らない場所に、身代金を要求する置き手紙を置いた」
「ウソいうなよ、やみのすけ」
「ほ、本当なのか、タケル」
ビックリするお父さん。
「じゃあ、やみのすけさん、置き手紙を置いたあと、タケルはどこに行ったというのです、屋敷も屋敷のまわりも探したがタケルはいなかった。それに洞窟に置いた身代金はどこに行ったんです、すっかり消えてしまった」
「タケル君は森が大好きなんです。森のことならなんでも知ってますよ、もちろん森から洞窟までの抜け道も。タケル君しか知らない道が。そうだろ、タケル。おまえは抜け道を使って、洞窟に出、そこで朝まで身を潜めた。そしてお父さんが置いた身代金をまんまと受け取ったあと、屋敷に戻ったんだ、おい、タケル、10億円はどこに隠した?」
「は離せ、やみのすけ、首が痛い……」
「タ・タケル、本当なのか……」
「わかった、本当のことをいうよ、誘拐事件は自分でやった、10億円は、森の小屋の地下室に隠した」
「本当か、タケル。なんでそんなことをするんだ」
真っ青になっているお父さん。
「ごめんなさい。パパはいつもお仕事とお金儲けのことばかりで、ボクのことなどちっともかまってくれない。だから試してみたかったの、ボクとお金とどちらが大事なのか。僕のためなら、10億円も払ってくれるのかどうか。でもパパはお金を持ってきてくれた、ボクのことを大事に思ってくれてたんだね、パパ、ありがとう」
「タ・タケル、そういうことだったのか……おまえのことが大事に決まっているだろ、お金なんかどうでもいい、ともかく心配したんだぞ、タケル」
「ごめんね、パパ……」
ハラハラ抱き合うタケル君とお父さん。そうして小屋にいったんでちゅ。ところが…
ない!隠して置いたはずの場所から10億円が消えているじゃあございませんか!
新たな事件発生か!いったい誰が……
やみのすけとワタクシちびねこは、トボトボと事務所に帰えりまちた。すると、きれねこが遊びに来てるじゃないでちゅか。しかも豪華な大盛りのうなぎ重を食べてる。
「オイ、何食ってんだ、きれねこ。しかも松竹梅の松のうな重だ。キモのお吸い物まで付いてるぞ。ヤイ、誰の金だと思ってんだ、ウチはビンボーなんだぞ」
フン、と黙ってるきれねこ。きれねこはプライドが高くてイコジ。素直になれないんでございまちゅ。とそのとき、
「あー!!!!こんなところに10億円が!!!!!」
なんときれねこが勝手に持ってきてしまったらちいんですわ……
「どういうことだ、きれねこ!!!!」
怒るやみのすけ。きれねこがオドオドして言いました。
「だって最近、やみのすけったら全然かまってくんないんだもん。お金持ってきちゃえば、かまってくれると思って、そんなに怒んないでよ、エーン(泣)」
「ウーン…本当に困ったやつだ」困ってるやみのすけ。
そんなわけで次回のアシスタントは、すぐにむかついてよくキレるきれねこちゃんでございまちゅ。